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大防法・石綿則の改正によりアスベストレベル3含有建材も規制強化!

メビウス(全解工連会報)に石綿則改正内容が掲示される

公益社団法人 全国解体工事業団体連合会会報の最新版(2020.10)にて「石綿障害予防規則の改正について」として石綿則の改正内容が詳しく掲載されています。

詳細は、これまでこのブログでお伝えしてきましたが、スケジュール面で分かりやすい表が掲示されていますので転載しておきます。

 

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但し、上記の表の内、「石綿含有成形品に対する措置の強化(切断等の原則禁止)」の施行日が令和3年4月になっていますが、正しくは令和2年10月が施行日ですので注意が必要です。

 

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ちなみに、同誌には、我が社の広告が掲載されています。

 

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「投げナイ・割らナイ・砕かナイ」は我が社が提唱している「アスベスト非飛散3原則」です。

法律上、解体に当たって「切断、破砕」しないようにと規制していても、フレコンバッグに納める時に「切断、破砕」していては意味がありませんね。

3年前の通達ですが…

平成29年6月9日付きの「基安化発0609第2号」という通達が、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長から、全国の都道府県労働局労働基準部長宛てに発出されています。

タイトルは「建築物等から除去した石綿含有廃棄物の包装等の徹底について」です。

 

内容は以下の通り。

  1. 石綿を含む製剤その他のもの」は、建物から除去する時はもとより、除去してから廃棄するまでのばく露防止も重要だ。
  2. 労働者のばく露が大きくならないよう、フレコンバッグで包装するために細かく破砕しないように
  3. 破断せずに運搬できるよう、成形板に適した大きさのフレコンバッグによる包装を行うこと

 

この通達が出された一番大きな理由は、平成28年の熊本大震災です。

それ以前の東日本大震災の被災地で、石綿気中濃度の測定結果から、破れたフレコンバッグに保管されていたボード板の移し替え作業場所で、一定濃度の石綿が飛散されていることが判明しました。

だから、熊本大震災でもそのようなことがないように指導・注意喚起を行ったが、依然、フレコンバッグから石綿がこぼれ落ちる事例が散見された。

だから、全国の労働局(労働基準監督署)及び25の関係団体に注意喚起の通達を発出しました。

 

我が社のロングタイプは、平成25年に特許を取得しました。

それから4年後に、上記の通達が発出されました。

しかし、解体現場では、せっかく苦労して原形のままスレート板を取り除いても、フレコンバッグに入れる時に、砕いて入れているという話をよく耳にします。

我が社のロングタイプの周知がまだまだ足りませんでした。

そこに、今回の大防法と石綿則の改正です。

スレート板などのレベル3成形板も、法律の規制対象になりました。

石綿則の改正では、石綿が含まれている成形板等の除去工事は、切断、破砕等によらない方法で行うことが原則義務になります。

これは令和2年つまり今年10月から施行されています。

先にも述べましたが、大防法の施行規則の改正に対して、次のパブリック・コメントが提出されました。

このコメントの内容は、3年前の通達の内容そのものでした。

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回答は以下の通りです。

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特集~石綿障害予防規則(石綿則)等の一部を改正する省令 ⑤

アスベスト規制に関しては、大防法・石綿則の改正前は、レベル1と2に対する規制が中心でしたが、今回の改正でレベル3を含んだ、アスベストが含まれるすべての資材が規制対象になりました。

それらの関係を分かりやすく説明したのが下図です。

 

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ケイ酸カルシウム板(ケイカル板)について補足を。

イカル板は石膏ボードと並んで不燃建材の代表的な材料です。

石膏ボードは、現場ではPB(プラスターボード)などとも呼ばれます。

内装用のボードで、最終仕上層の一歩手前で使用され、最終的にこの上にクロスなどを貼って仕上げていきます。

目には見えませんが、建物の内装であれば、ほぼどんな場所でも使用されている一番一般的な素材です。

一般内装向けとしては、コストパフォーマンスが最高の素材ということがいえますが、水に弱いというデメリットがあります。

そのため水回りにおいては、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)が使用されます。

組成は、ケイ酸質原料、石灰質原料、補強用途繊維が主な主原料になります。

これらをオートクレーブ養生という製法でピザのように作ります。

石膏ボードが苦手な場所、水回り、半外部などに使われます。

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半外部というのは、直接雨掛かりしないものの、外気にふれるような場所で、例えば、屋外のひさしの天井、駐車場の天井、マンションのベランダ隔壁板等です。

デメリットとしては、薄物があるので、場所によっては割れやすいといった点があり、天井などにビス止する場合、位置によってはクラックが入ったりします。

このケイカル板は、第1種と第2種に分類されます。

主な成分は同じなのですが、主にかさ比重(同じ体積における重さ)によって分けられています。

石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種は、比較的薄くて重く(厚4mm~10mm)、内装ボードや天井材などに使用されレベル3に分類されます。

石綿含有ケイ酸カルシウム板第2種は、分厚くて軽く(厚12mm~70mm)、鉄骨の耐火被覆材などに使用され、レベル2に分類されています。

この第2種は、主に耐火被覆材として、鉄骨の梁や柱、天井、壁に使用されています。素地での使用以外に、化粧パネルなどの用途もあり、1997年(平成9年)に製造終了しました。

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ケイ酸カルシウム板第1種はレベル3ですが、含有石綿の種類がスレート板などに含まれているクリソタイルよりも発がん性が高いといわれるアモサイトを含有しているので、飛散防止に関しては通常のレベル3以上の注意が必要で、今回、作業場所の隔離が必要とされました。

 

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特集~石綿障害予防規則(石綿則)等の一部を改正する省令 ④

ここでアスベスト・レベル3に分類される石綿含有建材を簡単に紹介しておきます。

 

アスベスト含有建材(レベル3)とは、セメント、けい酸質原料などを主原料とし、成形した建材(アスベスト成形板)です。耐火性、耐久性などに優れており、内装材、外装材、屋根材などとして、広く使用されています。

アスベスト成形板は、従来、非飛散性の建材であるため、通常の使用状態では、アスベストが飛散する可能性は極めて低いですが、建築物の増改築、解体時には、成形板の破断や粉砕などにより、アスベストが飛散する可能性があるとされたため、今回大防法の改正により法的規制を受けることになりました。

 

1 内装材(天井、壁、耐火間仕切り壁)

天井、壁、耐火間仕切り壁の内装材には、スレートボード、ケイカル板、せっこうボードなどの製品があります。

 

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特集~石綿障害予防規則(石綿則)等の一部を改正する省令 ③

1.工事開始前の石綿の有無の調査

 ③調査結果の記録は、3年間保存する必要がある。

  調査結果の写しを工事現場に備え付け、概要を見やすい箇所に掲示する必要がある。

2.工事開始前の労働基準監督署への報告(令和4年4月1日施行

 ※以下の規模の工事は、事前調査の結果を「電子システム」で報告する必要 が生じます。さ来年の施行ですが、これが大変そうです。

 

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報告の内容は、以下の通りです。

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3.成形板等の除去工事に対する規制

 石綿が含まれている成形板等の除去工事は、切断、破砕等によらない方法で行うことが原則義務になります。これは令和2年つまり今年10月から施行されています。

 ちなみに、大防法の施行規則の改正に対して、次のパブリック・コメントが提出され、それに対する回答が、10月15日に公開されました。

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実は、10月14日に厚生労働省大阪労働局を訪問しました。

「成型板等の除去工事は、切断、破砕等によらない方法で行うことが義務ですが、法律上はあくまでも原則義務となっています。現場で指導する時には除去後も破断しない様に伝える必要があると思いますが、このようなロングタイプに入れて運搬してもらえると、労働者の安全面でも有り難いのですが…」とのことでした。

今後も、マニュアルの整備内容を注視したいと思います。

特集~石綿障害予防規則(石綿則)等の一部を改正する省令 ②

厚生労働省所管の「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令」の周知のためにパンフレットが作成されていますので、ご紹介いたします。

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1.工事開始前の石綿の有無の調査

 

①工事対象となる全ての部材について、事前調査をし、調査結果を3年間保存することが義務になる。➡令和3年4月1日施行

事前調査は、設計図書などの文書及び目視による調査です。

この事前調査で石綿の使用の有無が明らかにならなかった場合には、分析による調査を実施しなければならない。

石綿が使用されていないと判断するためには、製品を特定した上で、次のいずれかの方法で調査しなければならない。

・その製品のメーカーによる照明や成分情報などと照合する。

・その製造年月日が平成18年9月1日以降であることを確認する方法。

 

②事前調査や分析調査は、要件を満たす者が実施しなければならない。

令和5年10月1日施行

◆事前調査を実施することができる者

石綿含有建材調査者

アスベスト診断士(令和5年9月までに登録された者)

◆分析調査を実施することができる者

・分析調査者講習合格者(厚労省

石綿分析技術者(A・Bランク)

アスベスト偏光顕微鏡実技研修修了者、アスベスト定性分析技能試験合格者、アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター

特集~石綿障害予防規則(石綿則)等の一部を改正する省令 ①

厚生労働省所管の「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令」が今年7月に公布され、早いものではこの10月から順次令和5年までにかけて施行されます。

これまでアスベスト飛散防止の対策としては、環境省所管の大気汚染防止法厚労省所管の石綿則が両輪となって進められてきました。

これに加えて、地方公共団体としても条例で独自にアスベスト飛散対策を進めてきました。

アスベスト飛散による健康障害に関しては、阪神淡路大震災等の建物倒壊を引き起こす災害の度に規制強化が求められてきましたが、各法律、省令、条令がそれぞれ別個に対応していましたので、関係者からは各省庁間の縦割りを越えたトータルな対応が望まれてきました。

6月の大防法改正と7月の石綿則の改正が一本化の大きな節目となりました。

ですから、石綿則の改正内容も、これまでお伝えしてきた大防法改正の内容とほぼ同じです。

復習の意味でも、もう一度中身を詳しくみていくことにします。

しばし、お付き合いのほどを。

厚労省の全国の労働局長宛ての通達です。

7月の公布で、一部の施行日が10月1日というのも、急な話ですね。

 

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さらに、10月頃から11月頃まで、「石綿対策に係る全国一斉パトロール」が実施されます。な、なんと素早い対応でしょうか!

 

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しかも、厚労省国交省環境省および地方自治体の合同パトロールですね。

縦割り行政が解消されています。…が、現場の方は大変でしょう。