大防法・石綿則改正に関するマニュアルの解説⑤
2.関係法令の解説(続き)
安衛法は、職場における労働者の安全と健康の確保及び快適な職場環境の形成の促進を目的とする法律です。
石綿則は、石綿による健康障害予防対策の一層の推進のため、建築物等の解体等作業における石綿ばく露防止対策等についての基準を示した厚生労働省令(これも法律の一種)です。
石綿による健康障害の予防については、従来、特定化学物質等障害予防規則に定められていましたが、増加する建築物等の解体等の作業における石綿による健康障害の予防対策の推進を一層図るため、平成17(2005)年7月1日より分離され、単独の規則として制定されました。
この石綿則においても、アスベスト除去工事の作業基準が定められていますが、ここでも、今回特定建築材料になったアスベストレベル3の作業基準を記します。
- 成形された材料であって石綿等が使用されているもの(石綿含有成形品)を建築物、工作物又は船舶から除去する作業においては、切断等以外の方法により当該作業を実施しなければならない。
ただし、切断等以外の方法により当該作業を実施することが技術上困難なときは、この限りでない。
先の大防法では「切断、破砕等することなくそのまま建築物等から取り外すことで当該建築材料を除去する」となっていました。
表現は違っていますが、内容はまったく同じですね。
建築物の解体等から排出される石綿含有産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物に指定された廃石綿等について、その分別、保管、収集、運搬、処分等を適正に行うため必要な処理基準等が定められています。
※この箇所は、今回のマニュアルでは、黄色のマーカーがなされています。【暫定版】ということで、今後廃棄物処理法との調整がなされるものと思います。
今回、何故、廃棄に関してマニュアルが間に合わなかったのか?ということは非常に興味深いですね。理由が判明次第、当ブログでお伝えしたいと思います。
④建設リサイクル法
事前に吹付け石綿その他の対象建築物等に用いられた特定建設資材に付着したもの(以下「付着物」という。)の有無の調査を行い、その調査結果に基づき分別解体等の計画を作成し、付着物の除去その他の工事着手前における特定建設資材に係る分別解体等の適正な実施を確保するための措置を講ずることが定められています。
建築基準法では、吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(以下「吹付け石綿等」という。)の建築物及び建築基準法に定める工作物への使用が禁止されています。
それに伴い、吹付け石綿等が使用されている建物は既存不適格建築物(注)となり、改修時等の措置が義務付けられています。
また、「封じ込め」、「囲い込み」の基準が告示で明確に示されています。
(注)建築基準法では、既存の適法な建築物が法令の改正等により違反建築物とならないよう、新たな規定の施行時又は都市計画変更等による新たな規定の適用時に現に存する又は工事中の建築物については、新たに施行又は適用された規定のうち適合していないものについては適用を除外することとし、原則として、増改築等を実施する機会に当該規定に適合させることとしています。
この新たな規定の施行又は適用により、不適合になった既存建築物を既存不適格建築物といいます。