最初にアスベストと健康について説明しています。
アスベストは呼吸器から吸入されると、長い繊維(5~100ミクロン)は終末気管支に留まって、そこから気管支壁を突き破って進入し、胸膜下へ移行し蓄積します。
そこで食細胞が作用して、数日後には鉄を含むタンパク質によって覆われます。
短い繊維は吸入後、喀痰として排出されますが、一部は食細胞にとりこまれ肉芽腫の中心となって周辺に繊維化がみられます。
口から摂取されたものは、消化管を貫通して腹膜に到達します。
アスベスト労働者の観察によると、アスベストの人への障害は、アスベスト肺、肺ガン、胸膜・腹膜の悪性中皮腫が主なものです。
平均的国民とくらべてアスベスト労働者が何倍くらい死にやすいか、死亡率が高いかをみると、死亡率全体としても高く、ガン、特に肺ガンの危険が高くなっています。アスベスト肺は塵肺症の一種でアスベスト労働者に見られる特有の呼吸障害です。
肺ガンはアスベスト肺と合併して発生することが多く、アスベスト肺よりも長い暴露期間(20年以上)を必要とします。
アスベスト肺ガンは一般の肺ガンと比べると早期発見がむずかしく、治りにくいといわれています。
その他のガンとしては、消化器系のガン、喉頭ガン、口腔・咽頭ガン、腎ガン、皮膚ガン、前立腺ガン、脳ガンの死亡率が平均的国民よりも高くなっています。
なかなかやっかいです。特に潜伏期間の長さがやっかいです。
このサイトでは、吹付けアスベストの処理方法を中心に掲載されています。
復習しましょう!
〇建築物や工作物を解体・改造・補修する際は、事前調査が必要です。
解体等工事の元請業者等は、工事を行う前に石綿含有建材が使用されていないか確認する必要があります。
(1)大気汚染防止法に事前調査の方法が規定されました。
・設計図書その他書面による調査
・現地での目視による調査
・分析による調査
(2)建築物の事前調査は、必要な知識を有する者に実施させる必要があります。(令和5年10月1日から義務付け)
・一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
・一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)
(3)事前調査の結果は、作業開始前(届出対象特定工事の場合は工事開始の14日前まで)に書面で元請業者等から発注者に説明する必要があります。
(4)一定規模以上の工事を行う場合は、石綿の使用の有無に関わらず、事前調査結果を元請業者等が都道府県等に報告しなければなりません。(令和4年4月1日から義務付け)
(5)事前調査に関する記録を作成し、その写しを解体等工事の現場に備え置く必要があります。当該記録は、解体工事終了後3年間保存しなければなりません。
〇特定粉じん排出等作業の届出は、発注者又は自主施工者が行います。(変更なし)
石綿含有吹付け材、石綿含有保温材・断熱材・耐火被覆材の除去、封じ込め又は囲い込み※を行う場合は、作業開始の14日前までに都道府県等への届出が必要です。
※囲い込みは、著しく飛散するおそれのある場合のみ必要
〇届出が不要な作業についても作業計画を作成する必要があります。
特定粉じん排出等作業を行う際は、届出対象特定工事ではない場合でも作業開始前に作業計画を作成し、当該計画に基づいて特定粉じん排出等作業を行うことが、新たに作業基準に位置付けられました。
〇事前調査結果、作業の掲示板の大きさが定められました。
(1)事前調査結果の掲示
より見やすい掲示とするため、掲示板の大きさが定められました。
A3サイズ(42.0cm×29.7cm)以上
事前調査方法の法定化や必要な知識を有する者に実施させること、特定建築材料の拡大に伴い、掲示事項が追加されています。
掲示板の設置場所に変更はありません。
(2)特定粉じん排出等作業にかかる掲示
より見やすい掲示とするため、掲示板の大きさが定められました。
A3サイズ(42.0cm×29.7cm)以上
〇隔離等をせずに吹付け石綿の除去を行う等、正しい方法で作業が実施されていない場合は、直接罰が適用されます。
吹付け石綿及び石綿含有耐火被覆材等の作業ついて、行わなければならない措置及び方法に違反があった場合には、作業基準適合命令を介さずに直接罰則が適用されることになります。
集じん・排気装置が正常に稼働していること、作業場及び前室が負圧に確保されていることの確認頻度が強化されます。
〇石綿含有仕上塗材や石綿含有成形板等を除去する際の作業基準が新設されました。
・石綿含有仕上塗材の除去に独自の作業基準が設けられました。
・石綿含有成形板等はセメント等で固形化されているため、通常の使用では石綿は飛散しにくいですが、劣化している場合や除去時に切断・破砕等を行うと石綿が飛散するおそれがあります。
・けい酸カルシウム板第1種は他の成形板に比べ、飛散性が高いため、切断・破砕等を行う場合は湿潤化に加え養生が必要です。
〇石綿の除去等作業完了後は、確認及び発注者への報告が必要です。
(1)作業の記録
特定工事の元請業者等又は下請負人は、特定工事における施工の分担関係に応じて、特定粉じん排出等作業の実施状況の記録を特定工事が終了するまでの間保存する必要があります。
(2)作業が計画に基づき適切に行われていることの確認
特定工事の元請業者等は、下請負人が作成した記録により作業が計画に基づき適切に行われているか確認し、記録を作成・保存する必要があります。
(3)取り残し等の確認
元請業者等は、除去作業については取り残しがないこと、囲い込み及び封じ込めについては措置が正しく実施されているか否かについて、「知識を有する者」に目視で確認させる必要があります。
・特定粉じん排出等作業の結果の報告等
特定工事の元請業者は、特定粉じん排出等作業が完了したときは、発注者に対し、結果を書面で遅滞なく報告するとともに、作業に関する記録を作成し、書面の写し及び記録を保存しなければなりません。
自主施工者も作業に関する記録の作成・保存が必要です。
〇罰則の対象が拡大されます。
・下請負人も罰則等の対象となります。
特定工事の元請業者及び自主施工者に加え、下請負人も作業基準の遵守義務等の対象となりました。
このため、特定工事の元請業者や請け負った特定工事の全部または一部を他者に請け負わせるときは、その者に対して特定粉じん排出等作業の方法等を事前に説明する必要があります。
・報告及び立入検査の対象拡大
対象者に下請負人を加えるとともに、営業所、事務所等その他の事業場を立入検査の対象に加えます。
・報告事項も規制強化に伴い追加されています。
〇災害時に備え、建築物等に石綿が使用されているか確認しておくことが重要です。
近年、災害の甚大化により、損壊した石綿使用建築物等から石綿が飛散するおそれが高まっています。
このような状況を踏まえ、国及び地方公共団体は連携して平時からの建築物等における石綿使用有無の把握に向けた取組を促進していきます。
〇他にも必要な手続きがあります。
建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策に関連する法律としては、大気汚染防止法以外に労働安全衛生法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、建築基準法等があります。このうち労働安全衛生法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に石綿の飛散防止に関連する作業基準等が定められており、工事施工者等はこれらの関係法令に基づき適正に作業を行う必要があります。