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大防法・石綿則の改正によりアスベストレベル3含有建材も規制強化!

大防法・石綿則改正に対する各地の対応③(大阪府・市)

大阪府では、平成26年6月1日に大防法が改正され、解体工事の届出義務者が工事施工者から発注者に変更されたのを機に大阪府生活環境の保全等に関する条例を改正し、府独自の規制を行ってきました。

 

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府では、大防法が規制の対象をレベル1と2に限定しているのに対して、条令によりレベル3の石綿含有成形板まで対象を拡げていました。

但し、届出の対象を1,000㎡以上としています。

 

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今回、石綿則の改正で、監督署への工事開始前の報告対象が、

①解体部分の床面積が80㎡以上の建築物の解体工事

②請負金額が100万円以上の建築物の改修工事

となりますが、施行が令和4年4月1日ですので、まだ上記の条例の見直しの動きはありません。

大阪府ではこれまで、法律よりも厳しい規制を実施してきたようです。

大防法・石綿則改正に対する各地の対応①(北海道)

大防法と石綿則の改正に伴い、各地の行政機関も動き始めました。

まずは北海道からです。

北海道アスベスト情報ポータルサイトは8月25日から更新されていません。

 

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一方、北海道労働局では、8月28日に石綿則改正の説明会を開催しています。

この時の説明資料が、とても分かりやすいです。

 

 2030年に石綿仕様建築物の解体棟数がピークに達することが示されています。(但し、棟数は明示されていません)

 

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札幌市では独自にチラシを作成しています。

 

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「レベル3建材にも気をつけて!」のイラストが印象的です。

道路施設におけるアスベスト対策

平成17年12月ですから、今から15年前に、国交省の道路施設アスベスト対策検討委員会から『道路施設におけるアスベスト対策について』という報告書が作成されました。

「道路施設においてもアスベストの使用実態を適切に把握し、アスベストの使用が確認された場合に適切に対応するため、本委員会において、アスベスト使用実態の調査方法、アスベストが使用されている場合の措置方法について検討を行ってきた。本報告書は、現時点で得られた道路関連施設におけるアスベストの使用に関する情報、およびそれを踏まえた今後の対応方針として、道路関連施設の維持・管理において必要なアスベスト飛散防止対策・ばく露防止対策をとりまとめたものである」とのこと。

 

調査の結果、アスベスト・レベル3がどの部分に使用されていたかが下表にまとめられています。

 

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この時点ではアスベスト・レベル3は非飛散性として扱われています。

そのため解体・撤去・処理の際の留意事項は次のようになっています。

 

◆解体・撤去・処理の際の留意事項

(関連法規の規定)

<解体・撤去時> 石綿障害予防規則を遵守。

  1. 撤去時、十分な湿潤化
  2. 原則として人力作業による取り外し
  3. 切断は最小限に
  4. 他の廃棄物との分別
  5. 保管時は、非飛散性アスベストであることを表示
  6. 作業員は保護マスク、保護衣を使用

 <処理時> 廃棄物処理法、「非飛散性アスベスト廃棄物の取扱いに関する技術指針(H17.3.30環境省)」の遵守。

  1. 石綿スレート等は産業廃棄物「建設廃材、ガラスくず及び陶磁器くず」、「がれき類」として処理。
  2. 産業廃棄物の許可業者(収集運搬、処分)に処理委託
  3. 搬出車両は飛散防止のためにシートを掛ける
  4. 原則として破砕せず安定型最終処分場に直接埋め立てる

 

この処理内容が、今年の石綿則の改正では、次のようになりました。

 

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道路施設におけるアスベスト対策についても、今回の石綿則の改正により、アスベスト・レベル3のスレート板などの解体に当たって、「原形のまま」が法制化されました。

「切断は最小限」にでは済まなくなりそうです。

その後、東日本大震災や熊本大震災を経て、アスベスト・レベル3も解体時に飛散することが分かり、先述した平成29年6月9日の厚労省の通達に至るわけです。

再録します。

  1. 石綿を含む製剤その他のもの」は、建物から除去する時はもとより、除去してから廃棄するまでのばく露防止も重要だ。
  2. 労働者のばく露が大きくならないよう、フレコンバッグで包装するために細かく破砕しないように
  3. 破断せずに運搬できるよう、成形板に適した大きさのフレコンバッグによる包装を行うこと

メビウス(全解工連会報)に石綿則改正内容が掲示される

公益社団法人 全国解体工事業団体連合会会報の最新版(2020.10)にて「石綿障害予防規則の改正について」として石綿則の改正内容が詳しく掲載されています。

詳細は、これまでこのブログでお伝えしてきましたが、スケジュール面で分かりやすい表が掲示されていますので転載しておきます。

 

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但し、上記の表の内、「石綿含有成形品に対する措置の強化(切断等の原則禁止)」の施行日が令和3年4月になっていますが、正しくは令和2年10月が施行日ですので注意が必要です。

 

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ちなみに、同誌には、我が社の広告が掲載されています。

 

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「投げナイ・割らナイ・砕かナイ」は我が社が提唱している「アスベスト非飛散3原則」です。

法律上、解体に当たって「切断、破砕」しないようにと規制していても、フレコンバッグに納める時に「切断、破砕」していては意味がありませんね。

3年前の通達ですが…

平成29年6月9日付きの「基安化発0609第2号」という通達が、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長から、全国の都道府県労働局労働基準部長宛てに発出されています。

タイトルは「建築物等から除去した石綿含有廃棄物の包装等の徹底について」です。

 

内容は以下の通り。

  1. 石綿を含む製剤その他のもの」は、建物から除去する時はもとより、除去してから廃棄するまでのばく露防止も重要だ。
  2. 労働者のばく露が大きくならないよう、フレコンバッグで包装するために細かく破砕しないように
  3. 破断せずに運搬できるよう、成形板に適した大きさのフレコンバッグによる包装を行うこと

 

この通達が出された一番大きな理由は、平成28年の熊本大震災です。

それ以前の東日本大震災の被災地で、石綿気中濃度の測定結果から、破れたフレコンバッグに保管されていたボード板の移し替え作業場所で、一定濃度の石綿が飛散されていることが判明しました。

だから、熊本大震災でもそのようなことがないように指導・注意喚起を行ったが、依然、フレコンバッグから石綿がこぼれ落ちる事例が散見された。

だから、全国の労働局(労働基準監督署)及び25の関係団体に注意喚起の通達を発出しました。

 

我が社のロングタイプは、平成25年に特許を取得しました。

それから4年後に、上記の通達が発出されました。

しかし、解体現場では、せっかく苦労して原形のままスレート板を取り除いても、フレコンバッグに入れる時に、砕いて入れているという話をよく耳にします。

我が社のロングタイプの周知がまだまだ足りませんでした。

そこに、今回の大防法と石綿則の改正です。

スレート板などのレベル3成形板も、法律の規制対象になりました。

石綿則の改正では、石綿が含まれている成形板等の除去工事は、切断、破砕等によらない方法で行うことが原則義務になります。

これは令和2年つまり今年10月から施行されています。

先にも述べましたが、大防法の施行規則の改正に対して、次のパブリック・コメントが提出されました。

このコメントの内容は、3年前の通達の内容そのものでした。

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回答は以下の通りです。

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特集~石綿障害予防規則(石綿則)等の一部を改正する省令 ⑤

アスベスト規制に関しては、大防法・石綿則の改正前は、レベル1と2に対する規制が中心でしたが、今回の改正でレベル3を含んだ、アスベストが含まれるすべての資材が規制対象になりました。

それらの関係を分かりやすく説明したのが下図です。

 

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ケイ酸カルシウム板(ケイカル板)について補足を。

イカル板は石膏ボードと並んで不燃建材の代表的な材料です。

石膏ボードは、現場ではPB(プラスターボード)などとも呼ばれます。

内装用のボードで、最終仕上層の一歩手前で使用され、最終的にこの上にクロスなどを貼って仕上げていきます。

目には見えませんが、建物の内装であれば、ほぼどんな場所でも使用されている一番一般的な素材です。

一般内装向けとしては、コストパフォーマンスが最高の素材ということがいえますが、水に弱いというデメリットがあります。

そのため水回りにおいては、ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)が使用されます。

組成は、ケイ酸質原料、石灰質原料、補強用途繊維が主な主原料になります。

これらをオートクレーブ養生という製法でピザのように作ります。

石膏ボードが苦手な場所、水回り、半外部などに使われます。

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半外部というのは、直接雨掛かりしないものの、外気にふれるような場所で、例えば、屋外のひさしの天井、駐車場の天井、マンションのベランダ隔壁板等です。

デメリットとしては、薄物があるので、場所によっては割れやすいといった点があり、天井などにビス止する場合、位置によってはクラックが入ったりします。

このケイカル板は、第1種と第2種に分類されます。

主な成分は同じなのですが、主にかさ比重(同じ体積における重さ)によって分けられています。

石綿含有ケイ酸カルシウム板第1種は、比較的薄くて重く(厚4mm~10mm)、内装ボードや天井材などに使用されレベル3に分類されます。

石綿含有ケイ酸カルシウム板第2種は、分厚くて軽く(厚12mm~70mm)、鉄骨の耐火被覆材などに使用され、レベル2に分類されています。

この第2種は、主に耐火被覆材として、鉄骨の梁や柱、天井、壁に使用されています。素地での使用以外に、化粧パネルなどの用途もあり、1997年(平成9年)に製造終了しました。

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ケイ酸カルシウム板第1種はレベル3ですが、含有石綿の種類がスレート板などに含まれているクリソタイルよりも発がん性が高いといわれるアモサイトを含有しているので、飛散防止に関しては通常のレベル3以上の注意が必要で、今回、作業場所の隔離が必要とされました。

 

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