いよいよ今月より解体工事等におけるアスベスト事前調査が有資格者によって行われることが義務化されました。
「おさらい」をしてみます。
下のWEBの内容がとても分かりやすかったので参考にさせて頂きました。
有資格者である建築物石綿含有建材調査者とは?
建築物の解体・改修の際、アスベストの使用実態を事前調査するにあたっての専門知識を証明する資格、それが建築物石綿含有建材調査者です。
同資格には、一般・一戸建て・特定の3区分があり、一戸建ては住宅のみ(共同住宅の共有部分を除く)、一般・特定はすべての建築物を調査対象とすることができます。
※令和5年3月現在、一般と特定で調査できる対象に違いはありません。
義務化はいつから?
有資格者による調査報告の義務化は2023年10月1日以降となります。
解体・改修工事を請け負う事業者は、それまでに有資格者を確保する必要があるでしょう。
資格取得方法
同資格を取得するには、厚生労働省と国土交通省、環境省の3省共管の講習を受講し、修了考査に合格する必要があります。
3つの区分のうち一般・一戸建てはそれぞれ座学と筆記試験のみ、特定についてはさらに実地研修と口述試験・調査票試験が加わります。
受講資格
いずれの区分も、受講には建築に関する規定年数以上の実務経験、あるいは建築課程の卒業が必要です。
一般・一戸建ての区分については、石綿作業主任者の技能講習修了者であれば、それらの受講資格に代えることができます。
そのこともあって、石綿作業主任者の受講者数も急増中。
2021年(令和3年)の修了者数は前年の約3倍となっています。
合格率
建築物石綿含有建材調査者の合格率はおおむね60~90%台で推移しています。一見して高く見えますが、受講資格のハードルが高いためと考えられ、実質的な難易度は油断できない水準といえるでしょう。
(私も、まず石綿作業主任者の技能講習を修了して受験資格を得ました。石綿調査者の試験の合格率は60~90%台となり試験機関によって差があるのかな?という感じですね。私が受講した試験機関の試験は、正直言って「舐めてかかると」落ちてしまいます。なにしろ試験範囲が広いです。私はたまたまWEBで見つけた同機関の模擬試験があったので、それを事前に解きました。でなければ恐らく落ちたと思います。)
対象となる工事
解体・改修前の事前調査は原則、すべての建築物において実施が義務づけられています(※個人宅のリフォームや解体工事も含む)。ただ、報告/調査が不要となる例外もあります(表2)。
報告義務者と報告方法は?
報告義務者となるのは、建築物などの解体・改修工事を受注した施工業者(元請事業者)です。
下請事業者や発注者が調査報告を代行することはできません。
罰則
調査報告を怠った場合、または虚偽の報告を行った場合には、大気汚染防止法に従い30万円の罰金が科されることがあります。
事前調査から報告までの流れ
では、実際に元請事業者がアスベスト事前調査を行う際の手順について整理してみましょう。
まず、必須となる調査方法として、書面調査と目視確認があります。
書面がない場合を除き、両方行う必要があります。
1.書面調査
実際の施工に携わった建設業者をあたり、まず、当時の施工図や設計図書などの文書を基に書面調査を行います。文書内にアスベスト使用の記載がなくとも、アスベスト含有吹付け材が規制された年代と建築年次を突き合わせて類推できる場合があります。
2.目視確認
アスベスト使用の有無を記載していない、あるいはのちの改修・補修の際にアスベストが使用された、そういった可能性も当然、考えられます。書面が古く記載が曖昧、字が掠れて読み取れない、あるいは書面そのものが見つからないといったケースもあるでしょう。そのため、目視による現地調査も義務づけられています。
アスベストは天井・壁・鉄骨・配管まで、建物の至るところに使用されています。これらすべてを目視で調査するのはきわめて困難です。解体時の発塵性/危険度の高い順にレベル1から3までに分類されていますので、優先度の高いものから順にチェックするのがよいでしょう。
天井への断熱材、機械や壁への吸音材、鉄骨への耐火被膜材として吹き付けられたアスベストなどは、解体時の発塵の危険性がきわめて高くレベル1に分類されており、特に注意が必要です。
3.分析
アスベスト含有の有無が不明な場合、さらに分析を行うことが義務づけられています。必要箇所の建材をサンプリングし、分析会社に分析を依頼します。分析結果を記した調査票は、大切に保管してください。
なお、アスベストが含有されているものとみなして法令に基づく石綿飛散防止措置等を講ずる場合は、分析調査を省略することができます。
4.報告書作成
事前調査の結果報告先は、所轄の労働基準監督署です。また、環境省が所管する大気汚染防止法に基づき、地方公共団体にも併せて行う必要があります。
※一人親方、自主施工者からの報告の場合は地方公共団体のみ
報告は石綿事前調査結果報告システムを通して24時間オンラインで行うことが可能です。
PC、スマートフォン、タブレットから利用可能で、一度の操作で労働基準監督署と地方公共団体の両方に報告できます。