○田村(貴)委員
届出を怠ったり、それから、作業基準に反した工事を行って石綿、アスベストを飛散させてきた例は枚挙にいとまがありません。総務省の勧告でもあったように、今回の法改正につながっていると思いますけれども、これらの規定で防げるのであろうかという疑問を私は持っています。
この間、実際にあった違反行為を紹介したいと思います。
昨年の五月から六月にかけて、鹿児島市内の百貨店、山形屋において耐震補強工事が行われました。
請け負ったのは大手ゼネコン、大成建設。
改修工事を始めたところ、猛毒の青石綿が大量に含有した吹きつけアスベストを発見したとのことであります。
ところが、同社は、大防法で定められた対策をとらないまま、無届けで工事を続行しました。
百貨店は営業中だったために、多数の来客者や従業員が暴露しています。
鹿児島県労働基準監督署はことし一月二十日に、大成建設と同社の作業所長を労働安全衛生法違反の疑いで鹿児島県地方検察庁に書類送検をしました。大変悪質な事案だと言わざるを得ません。
吹きつけアスベストを除去する際の飛散防止策について環境省に伺います。
作業現場の隔離養生、集じん・排気装置を使用した現場の負圧化、また、作業員が作業現場に出入りする際にアスベストを洗い流すためのエアシャワーや更衣室などを備えた前室の設置が義務づけられていると承知していますけれども、確認します。
○小野政府参考人
お答えいたします。
現在の法律、現在の大気汚染防止法におきましても、委員が今おっしゃいましたような行為については作業基準に違反するものということでございます。
○田村(貴)委員
この鹿児島のデパートの工事は、隔離養生と集じん・排気装置は設置されていたんです。
しかし、前室を設けていなかったんですね。
したがって、石綿がついたままの作業着で出入りをして石綿を飛散させたということになります。これは大問題であります。
こうしたことがあってはならないというふうに思いますよ、後で見解を聞きますけれども。二十一日間もの工事の期間中に、営業中の百貨店で石綿がまき散らされたということであります。
お伺いしますけれども、今度の法改正で、前室を設置していないまま工事を行うことによって、これは直接罰の対象になるんでしょうか。
○佐藤副大臣
先ほど一部分答弁申し上げましたとおり、委員御指摘の前室を設置しなかった場合でございますけれども、あるいは集じん・排気装置の管理が悪いといった場合、こういった場合につきましても、この規定されている措置を適切に行っていないとみなしまして、直接罰の対象になるというふうに考えております。
○田村(貴)委員
法文上はどのように書かれていますか。
○小野政府参考人
お答えいたします。
ちょっと法文そのものは、大変長い部分なので若干はしょらせていただきますけれども、当該特定建築材料の除去を行う場所を他の場所から隔離し、除去を行う間、当該隔離した場所において環境省令で定める集じん・排気装置を使用する方法、これに従わなかった場合には直接罰の対象になるということでございます。
○田村(貴)委員
ちゃんと法文上も前室と書いたらどうですか。
これは集じん・排気装置がつくられていたにもかかわらず、前室がなかったために飛散したんですよ。
ですから、こういう事件とか事案というのは教訓とすべきですよ。せっかく改正するんでしょう。直近のこういう事案なんかをやはり学習し、そして教訓としなければ、やはり未然に事故というのは防げないというふうに考えます。
大成建設は、この手抜き工事の事実を、記者会見はおろか公表もしていません。誰も逮捕されていません。現場の公表もされていません。法改正するのであれば、実効力ある抑止力、これを明記すべきであります。