○田村(貴)委員
続いて、もう一つの事例を紹介したいと思います。
これは二〇一三年十二月に発覚した名古屋市市営地下鉄名港線の六番町駅での事故であります。
一日七千人が利用する駅なんですけれども、空気一リットル当たり七百十本の青石綿が約二日間、構内に飛散したということです。
なぜ起こったかといいますと、集じん・排気装置の管理が悪かったことが原因であります。
今度の法改正によって、集じん・排気装置を使用しているんだけれどもその管理が不十分でアスベストが飛散した場合に、直接罰の対象となりますか。
○佐藤副大臣
先ほど一部御答弁させていただきましたけれども、集じん・排気装置を使用しなかった場合等も直接罰として規定をさせていただいております。
○田村(貴)委員
繰り返しになりますけれども、そうしたら、ちゃんと条文にわかるように書かないといけないと思いますよ。
定められた基準を遵守すること等々の表現を置かないと、これはやはり法の抜け道になっていくわけなんです。
周知すると言うけれども、やはり先ほど挙げた事例というのは重要な違反行為です。
違法に罰則を科すというのならば、しっかりと条文に明記すべきだというふうに指摘をしておきたいと思います。
それから、その直接罰の内容、副大臣、答弁ありましたように、懲役三カ月以下若しくは三十万円の罰金、これについても意見がたくさんあります。
こういうことを言われた方もいます。
罰金覚悟で違反行為が広がるんじゃないか、こういう指摘をする方もおられるわけです。
手抜き工事やずさんな管理によってどれほどアスベストが飛散されてきたことでしょうか。
重大な事故を防ぐためにも、今回の法改正で、私は、大気濃度の測定というのは、これはもう欠かせない事案だと思います。
大気濃度の測定というのは、なぜ法改正で見送られたんでしょうか。
○佐藤副大臣
ことし一月に、中央環境審議会の石綿飛散防止小委員会における答申が出ております。
この小委員会におきます議論では、測定義務づけの制度化に賛成と反対の両方の御意見がございまして、結果として、測定の制度化には困難な課題が残っているため、関係者が協力をして課題解決に取り組み、今後、制度化について検討する必要があるというふうにされたと聞いております。
環境省といたしましては、この答申を踏まえまして、まず測定の迅速化、それから評価の指標、そして指標値を超過した場合の措置などの、こうした残された課題について引き続き解決に向けた検討をまずしっかりと進めていくということが重要であると考えております。
いずれにいたしましても、石綿濃度の測定の目的でもございます石綿飛散の監視という観点では、今般のこの大気汚染防止法の改正によりまして、直接罰の創設、それから作業結果の発注者への報告の義務づけ、そして隔離した作業所に設置する集じん・排気装置の正常な稼働の確認頻度の増加などの規制強化を行うこととしておりますので、これらの対策によりまして、並行して作業時の飛散防止も徹底をしてまいりたいと思います。
○田村(貴)委員
そうはおっしゃいますけれども、解体作業の現場において、今大気濃度はどうなのか、工事途中のときの大気濃度はどうなのか、工事が無事終わって、その後飛散されていないのか、ここは絶対検証しなければならない話なんですよね。
それを、別の施策でやっているから大丈夫などというのは通らない。
現場で、アスベストを含むレベル1、2、3、この建材の解体工事は行われる。
飛散防止策が最近の事例でもできていない、徹底されていない、それを検証するためにも、大気濃度の測定というのは、これは必須条件であります。
パブリックコメントでも、これをなぜつけないのかという声がたくさん寄せられています。今からでも遅くはないと思います。これを実施するように、地方自治体と、そして第三者、専門家による知見も集めて、どうやったら客観的に飛散が防止されているのか、これはやはり検証しなければだめですよ。
それで、最後に、諸外国の大気濃度測定義務づけの状況について教えてください。
○佐藤副大臣
環境省で把握をしております範囲でございますけれども、諸外国で大気中の石綿濃度測定を義務づけている国としては韓国があるというふうに認識をしております。
その他の国で申しますと、例えば英国におきましては、日本と同様に、ガイドラインにおいて大気中の石綿濃度測定の実施を求めているというふうに認識をしております。
○田村(貴)委員
お隣の韓国では法に位置づけられていると。
諸外国の例も、いろいろ聞いていますけれども、日本よりもしっかりとした制度になっているということは、法案審議のときにまた論議をさせていただきたいというふうに思います。
今踏まえた点をぜひ法改正に生かしていただきたいということを要望して、次の質問に入ります。
(ちなみに、次の質問は「絶滅危惧種のジュゴン」についてでした…)
以上が、環境委員会でのすべての議論です。