2.関係法令の解説
アスベスト関係の法律は様々なものがあるので、この機会に簡単に整理しておきましょう。
①大気汚染防止法(大防法)
大防法においては、石綿の排出及び飛散の抑制を図るため、平成元(1989)年の大防法の改正から規制が始まりました。
大防法の規制対象となる材料のことを「特定建築材料」と呼びますが、特定建築材料は、特定粉じんを周辺環境へ飛散させるおそれのあるものであり、石綿の場合は、その生産量、使用量等も考慮して、最も石綿飛散性の高いものとして、当初、吹付け石綿が指定されました。
その後、石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材が追加されました。
さらに、平成25(2013)年の法改正から5年が経過し、法の施行状況を検討した結果、飛散性が相対的に低いことから、これまで規制対象ではなかった石綿含有成形板等(いわゆるレベル3建材)についても、不適切な除去作業を行えば石綿が飛散するおそれがあることが判明したため、昨年(令和2年)、法の規制対象に加えられました。
現在、特定建築材料に該当するとされている建築材料は以下の通りです。
特定建築材料毎に解体工事の作業基準が細かく定められていますが、ここでは法改正によって規制対象になったアスベストレベル3の作業基準を解説します。
- 切断、破砕等することなくそのまま建築物等から取り外すことで当該建築材料を除去する。
- ただし、そのまま建築物等から取り外すことが技術上著しく困難等なときは、除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化する。
- この場合において、除去する特定建築材料が石綿含有けい酸カルシウム板第1種であるときは、当該特定建築材料の薬液等による湿潤化に加え、当該特定建築材料の除去を行う部分の周辺を事前に養生する。
- また、当該特定建築材料の除去後、作業場内の清掃その他の特定粉じんの処理を行う(養生を行ったときは、養生を解くに当たって行う)。
- 「切断、破砕等することなくそのまま建築物等から取り外す」とは、固定具等を取り外すこと、母材等と一体として取り外すこと等により、特定建築材料を切断、破砕等せずに建築物等から除去することをいう。
- そのまま建築物等から取り外すことが「技術上著しく困難なとき」とは、特定建築材料や固定具が劣化している場合、特定建築材料の大きさ、重量、施工箇所等によって取り外しが物理的に困難な場合など、除去する特定建築材料や作業場の状況等によって切断、破砕等せざるを得ない場合をいう。