令和2年6月に大気汚染防止法(環境省)が改正され、同時に石綿障害予防規則(厚生労働省)も改正されました。
この改正に基づき、翌年の3月に厚労省・環境省から「石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」が公開されました。
【廃棄物処理法とは?】
正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で昭和45年12月25日に成立しました。
廃棄物の排出抑制と処理の適正化により、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律です。
廃棄物処理法や廃掃法と略されます。
【廃棄物処理法の大きな改正は?】
◆平成4年7月施行の改正により、廃石綿等は特別管理産業廃棄物として指定されました。
◆平成18年10月1日施行の改正により以下の点のように処理基準が強化されました。
つまり、平成18年10月1日より、石綿を含む廃棄物は、大きく廃石綿等(レベル1、2)と石綿含有廃棄物(レベル3)に分けられました。
但し、この段階では大気汚染防止法ではレベル3は規制対象にされていませんでしたので、多くの都道府県や政令指定都市においては、条例によってレベル3を含む産業廃棄物について規制を強化していました。
◆令和2年に大気汚染防止法(環境省)と石綿障害予防規則(厚労省)が改正され(令和3年4月施行)、ここでようやく石綿を含む廃棄物の処理方法が一本化されました。
特に大防法において、全ての石綿含有建材が特定建築材料としての規制対象になり、従来の吹付け材(レベル1)や保温材等(レベル2)に加え、新たに石綿含有成形板等や仕上塗材(レベル3)が規制対象になりました。
◆「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」の見直し
この流れを受け、処理マニュアルも見直されました。
以下、アスベストレベル3に関する取り扱いを中心に見ていきます。
(神奈川県のホームページを参照させて頂きました)
1.石綿含有産業廃棄物とは
石綿含有産業廃棄物とは、「石綿を含有する産業廃棄物であって環境省令で定めるもの(工作物の建築、解体等で生じたもので、石綿を0.1%を超えて含むもの(廃石綿等を除く))」を言い、例えばアスベスト成型板が解体工事により撤去され廃棄物となったものなどが該当します。
産業廃棄物の区分は、がれき類、ガラスくず等のうち石綿含有産業廃棄物に該当するものは、「がれき類(石綿含有産業廃棄物)」、「ガラスくず(石綿含有産業廃棄物)」の様に表記しなければなりません。
比較的飛散性が高い恐れのあるものについて
マニュアル上、石綿含有成型版等のうち、石綿含有けい酸カルシウム版第1種並びに石綿含有下地調整塗材、石綿含有仕上げ塗材及び石綿含有廃棄物が排出される解体等工事において使用される用具又は器具等に付着した石綿含有建材については、比較的石綿の飛散性の高いおそれのあるものとされており、これらの廃棄物の排出時、収集運搬時には、本項以下に記載する石綿含有産業廃棄物の一般的な取扱いに加え、基準で求める飛散防止のために必要な措置として、次のような取扱いをする必要があります。
石綿含有仕上げ塗材を除去し廃棄物となったものは、廃棄物の性状が粉状又は汚泥状であるため、袋の破損等が起こると廃棄物が流出する蓋然性が高いものであることから、耐水性のプラスチック袋等により二重でこん包を行う必要があります。また、梱包の前に固型化、薬剤による安定化等の措置を講ずることが望ましいです。また、収集運搬時には、排出時に措置した二重梱包の状態のまま運搬してください。
・けい酸カルシウム板第1種、用具又は器具等に付着した石綿含有廃棄物等
けい酸カルシウム板第1種が切断・破砕されて廃棄物となったものや除去時に用具又は器具等に付着した石綿含有廃棄物等は、収集・運搬等の処理の過程における飛散及び流出の防止措置として、フレキシブルコンテナや十分な強度を有するプラスチック袋等にこん包して廃棄物の露出がないようにしてください。
なお、これらの比較的石綿の飛散性の高いおそれのある廃棄物の埋立てを行う際には、梱包したまま容器が破損しないように埋立てを行ってください。
また、排出事業者は、これらの比較的石綿の飛散性の高いおそれのあるものの処理を委託する際は、受託者にその旨を伝えるため、委託契約書や産業廃棄物管理票に比較的石綿の飛散性の高いおそれのあるものである旨を記載してください。
石綿含有廃棄物の「汚泥」に係る品目上の取扱い
アニュアル上、石綿含有仕上塗材が廃棄物となったものは、除去された工法によっては、産業廃棄物の「汚泥」に該当する場合もあるとされています。
本県(神奈川)では、石綿含有仕上塗材を除去する際に、高圧水洗工法等で発生する「排水処理汚泥」や「ろ過残渣」等、泥状を呈するものは、原則として「石綿含有汚泥」に該当すると整理しています。
2.石綿含有産業廃棄物の解体現場での保管
排出事業者(元請業者)は、産業廃棄物が運搬されるまでの間、産業廃棄物保管基準を遵守しなければなりません。
石綿含有産業廃棄物に係る基準は次のとおりです。
(1) 周囲に囲いを設けること。なお、囲いに廃棄物の荷重がかかる場合には、その囲いを構造耐力上安全なものとすること。
(2) 廃棄物の保管場所に掲示板を設置すること。
大きさ : 縦横60cm以上
記載事項: 産業廃棄物の種類、石綿含有産業廃棄物である旨、保管場所の責任者の氏名又は名称及び連絡先、積み上げられる高さ
(3) 仕切りを設ける等、他の物と混合しないような措置をとること。
(4) 飛散しないよう、梱包、シートがけ等の措置をとること。
3.石綿含有産業廃棄物の処理
産業廃棄物の処理に当たっては、産業廃棄物処理基準を遵守しなければなりません。(この基準は、排出事業者(元請業者)が自ら処理を行う場合も委託業者が行う場合も同じです。)
石綿含有産業廃棄物に係る主な基準は次のとおりです。
(1) 収集運搬
ア 破砕することのないように行うこと。
ただし、大きすぎて車載できない場合等やむを得ない場合には、十分に湿潤化したうえで必要最小限の切断等を行うことができる。
イ 仕切りを設ける等、他の物と混合しないような措置をとること。
ウ 飛散しないよう、梱包、シートがけ等の措置をとること。
(2) 処分
中間処理は、知事等の許可を受けた施設での溶融又は国の認定施設での無害化処理等に限定されます。
これ以外の中間処理(破砕、切断など)を行うことは原則禁止されていますので、溶融等を行わない場合はそのままの状態で最終処分を行うことが必要です。
4.石綿含有産業廃棄物の処理の委託を行う場合の注意事項
(1) 許可業者への委託と契約書の作成
排出事業者(元請業者)は、石綿含有産業廃棄物の処理を他人に委託する場合は、委託契約書に、石綿含有産業廃棄物が含まれる旨を必ず明記しなければなりません。
(2) 適正処理の確認
ア マニフェストの交付
排出事業者(元請業者)は、石綿含有産業廃棄物の処理を委託する際には、産業廃棄物管理票(以下「マニフェスト」という。)を、石綿含有産業廃棄物である旨を明記したうえで交付しなければなりません。
なお、石綿含有産業廃棄物は、他の産業廃棄物と区分して排出する必要があります。
イ 適正処理の確認
排出事業者(元請業者)は、処理を委託した石綿含有産業廃棄物が適正に処理されたことを、委託した処理業者から返送されたマニフェストによって確認しなければなりません
5.その他
石綿含有産業廃棄物の適正処理を行うためには、排出段階で石綿含有産業廃棄物とその他の廃棄物を区分して保管し、排出することが極めて重要です。
また、そのためには、計画段階からの対応が不可欠であり、発注者による事前確認、排出事業者(元請業者)による処理計画の策定、アスベスト成型板等の撤去方法などについても、「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」や関係法令に基づく適切な対応をお願いします。
https://www.kenpaikyo.or.jp/law/file/20210423-2.pdf#zoom=100
尚、この2つのマニュアルには、「成形板の定型の大きさのものをそのまま梱包できる」フレコンとして我が社のロングタイプが写真付きで掲載されています。