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大防法・石綿則の改正によりアスベストレベル3含有建材も規制強化!

アスベスト規制について③(石綿障害予防規則一部改正)

という内容が厚生労働省から各報道機関に配信されました。

発信元は「厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課」です。

どのような内容でしょうか?

表題には「除じん性能を有する電動工具に関する措置を見直します」とあります。

 

厚生労働大臣は、本日(令和5年7月27日)、労働政策審議会に対し、「石綿障害  予防規則の一部を改正する省令案要綱」について諮問を行いました。

石綿等の切断等の作業等における粉じん発散防措置について、「湿潤化」に限定せず、湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うことを義務付けるものです。

・また、特に石綿等の粉じんの発散しやすい石綿含有成形品の切断等の作業や、石綿含有仕上げ塗材を電動工具で除去する作業においても、作業内容に応じた、最適な粉じん発散防止措置を作業場で適切に講ずることができるよう、「常時湿潤化」に限定せず、常時湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置のいずれかの措置を行うことを義務付けるものです。

厚生労働省は、この答申を踏まえて、省令の改正作業を進めます。”

厚労省環境省のマニュアルでは次のようになっています。

原則は「切断せずにそのまま取り外すこと」「切断等以外の方法で除去しなければならない」です。

それが無理ならば「湿潤化」しなさいということです。

石綿則では、湿潤な状態とすることが「著しく困難」な場合に除じん性能を有する電動工具などで飛散防止に努めなさい(努力規定)となっています。

簡単に言えば、アスベストレベル3含有成形板等は、大原則は「割らずに原形のまま取り外す」こととして、原形のまま取り外すのが技術的に困難な場合は、「薬液等で湿潤化」しなさいということでした。

この取り扱いに対して、これまでも、湿潤化しなくても「除じん性能を有する電動工具」を使えばいいのではという要望がありました。

確かに湿潤化して電動工具を使えば、感電の危険もあるし、現場が水(薬液)びたしになってしまいます。

この省令改正は令和6年4月1日からとされています。

何となく「湿潤化」するか「電動工具で割るか」の二者択一になったような感じですが、先の厚労省の資料には「切断せずに取り外す」ことが大原則であることに違いはないと念押ししています。

この改正には批判的な報道が散見されます。

その趣旨は、

・測定結果自体が、一般大気中の測定で使われる空気1リットルあたりに換算すると、集じん機なしで1万7530本ないし1万3690本、集じん機ありでも1420本ないし1890本という高濃度であるということにあるとのこと。

環境省のマニュアルは「一般環境のアスベスト濃度は、近年、濃度レベルが低下してきており、(石綿以外を含む)総繊維でも概ね0.5f/L以下のレベルで推移している」と解説(f/Lは1リットルあたりの繊維数)。

・住宅地では近隣の解体現場などの影響でわずかに検出される程度で平均0.21本(2022年度)にすぎない。

・そのため同省は石綿以外も含む総繊維で1本超を漏えいの「目安」としている。

「こうして考えるとどれだけ高濃度かわかるだろう」ということです。

さらに、「イギリスやアメリカ、オーストラリア、韓国などでは、今回のような石綿スレートのような成形品であっても、切断・破砕作業では吹き付け石綿の除去と同様の飛散・ばく露防止措置が義務づけられている。」とのこと。

・日本では規制は作っても管理・監視がないからいまでも石綿スレートなんて湿潤もしないでみんな破砕してます。本当に正直者がバカをみる状況がまったく変わってない。

・5月中旬、都内の再開発現場で屋根の石綿スレートが違法解体されていた。自治体は再発防止を求める形だけの指導をするだけ。

・孫請けあるいはさらに下層とみられる施工業者の若い責任者に違法な破砕作業だったことを指摘すると「(割らずに除去するのは)絶対無理ですよ。できるってんなら自分でやってみればいい!」と反論された。

とのこと。

今回の改正には疑問視する声が多いのは事実ですが、上記のような「湿潤もしないでみんな破砕してます」というようなことが減少することを期待する声もあります。

 

インターアクションでは引き続き、「原形のまま」梱包・運搬できるロングタイプの情報を提供することで、アスベスト飛散による作業員の方々の災害防止をサポートしてまいりたいと思います。