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大防法・石綿則の改正によりアスベストレベル3含有建材も規制強化!

アスベストレベル3規制 総復習②

先の新エネルギー・産業技術総合開発機構の資料によると、アスベストを含む建材全体

の出荷量約6100万トンのうちの96.5%に当たる5883万1000トンがレベル3建材です。

アスベストレベル3含有建材は、大気汚染防止法では「切断することなくそのまま取り外すこと」石綿障害予防規則では「切断等以外の方法で除去しなければならない」とされています。

しかし、現場の方々にお話を聞くと老朽化等のために「原形のまま」取り外すことが困難な場合もあるとのことです。

大防法では「除去する建材を薬液等により湿潤化すること」、石綿則では「湿潤な状態なものとしなければならない」とされています。

さらに石綿則では「湿潤な状態とすることが著しく困難なときは、除じん性能を有する電動工具の使用その他石綿等の粉じんの発散を防止する措置を講ずるように努めなければならない」とされています。

この点、先月末に厚労省より各都道府県労働局長宛てに下記の通達が発信されています。

ちょっと長めですが引用します。

第1 改正の趣旨

石綿障害予防規則(以下「石綿則」という。)第13条第1項においては、事業者に石綿等の切断等の作業の際に石綿等の湿潤化の措置を講じることを義務付けており、当該措置が著しく困難な場合は、除じん性能を有する電動工具の使用等の措置を講ずることを努力義務としている。

また、石綿則第6条の2第3項においては、石綿等の切断等の作業のうち特定の作業を行う際には、作業場所の隔離、当該石綿等の常時 湿潤化等の措置を講じることが義務付けられている。

今般、除じん性能を有する電動工具の使用は、石綿等を湿潤化した場合と同等以上の石綿等の粉じんの発散低減効果があると認められるため、石綿則第13条第1項で規定する措置については、石綿等の湿潤化の措置に限定せず、石綿等の湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の措置のいずれかの措置を行うことを義務付けることとした。

さらに、石綿則第6条の2第3項第2号で規定する措置については、有効な呼吸用保護具の使用が義務付けられていることを前提として、作業の状況に応じた、最適な石綿等の粉じん発散防止措置を適切に講ずることができるよう、石綿等の常時湿潤化の措置に限定せず、石綿等の常時湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の措置のいずれかの措置を行うことを義務付けることとした。

なお、本改正は、電動工具による石綿等の切断等を推奨する趣旨ではなく石綿則第6条の2第1項に規定されているとおり、石綿等の除去は、石綿等の切断等以外の方法(ボルトや釘等を撤去し、手作業で取り外すこと等)で行う必要があり、これを実施することが技術上困難な場合に限り、石綿等の切断等を行うことが認められているという従来の考え方を変えるものではない。

大原則は「切断等以外の方法」つまり手作業で取り外すことであるが、それが技術上困難な場合、従来、選択肢は湿潤化しかなかったところに、除じん性能を有する電動工具を使用してもOKだという風に法律が変わることになります。

今回の改正の裏付けとなったのが、上記の分科会資料です。

この資料の中に、実証実験結果の詳細が載っています。

労働安全衛生法では、平成16(2004)年10月1日付け改正によりアスベストを取り扱う屋内の作業場におけるアスベストの管理濃度を0.15本/cm3と定めています。なお、1000㎤は1Lであるため、1Lあたりの管理濃度は150本となります。この基準に照らし合わせると、上記の表の集じん有(工具A)の46.88f/㎤とは46,880本ということになります。

また大気汚染防止法では、大気汚染防止法においては、特定粉じん発生施設の敷地境界におけるアスベスト濃度の許容限度を10f/Lまでと定めています。

このように、除じん性能を有する電動工具であっても飛散の恐れは免れないので使用に当たっては次の諸点に留意するように定められている。

日本産業規格Z8122でいうHEPAフィルタ又はこれと同等以上の性能を有するフィ ルタを備えた集じん機を用いること。

・除じん性能を有する電動工具の使用に当たっては、正しく使用されなければ石綿等の粉じんの発散低減効果が発揮されないため、取扱説明書等に従い、適切に使用するとともに、フィルタの交換等適切なメンテナンスを定期的に行う必要があること。

・除じん性能を有する電動工具の使用に当たっては、石綿等が付着した電動工具の持ち出しを防ぐため、石綿則で規定する容器の備え付け及び付着した石綿の除去等の措置に留意すること。

電動工具を用いて石綿等の切断等を行う場合において、「呼吸用保護具」は、防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(S級の半面形面体であってろ過材がPS3又はPL3のものに限る。)又はそれと同等以上の指定防護係数を有する防じん機能を有する呼吸用保護具をいう。

など使用に当たっては厳しく規制されています。